こどもたちが大好きで、音楽劇として発表されることもある絵本をご存じでしょうか。それは『スイミー』です。作者はレオ・レオニ。訳は谷川俊太郎です。
さすがは谷川俊太郎です。ことばによって実に質の高い表現をしています。いくつか紹介します。
①なまえは スイミー。
(体言止めと常体の文末による歯切れのよさ)
②スイミーはおよいだ、くらいうみのそこを。(倒置法による強調。およいだを強めています)
③こわかった、さびしかった、とてもかなしかった。(短文の反復によるリズムとテンポづくり)
④にじいろの ゼリーのような くらげ(比喩)
⑤あさの つめたい みずの なかを、ひるの かがやく ひかりのなかを、 みんなは およぎ、おおきな さかなを おいだした。
(描写の的確さ 情景描写の見事さ)(倒置法)
ことばが、薄く軽く曖昧に扱われる現在(いま)だからこそ、絵本を読み直して言語感覚をメンテナンスしてはどうでしょう。
絵本は短いですし、なんといってもお話がおもしろいです。
2023.09.04~05