こどもたちと『読み』たい詩

    鹿     村野四郎


鹿は 森のはずれの
夕日の中に じっと立っていた
彼は知っていた
小さい額が狙われているのを
けれども 彼に
どうすることが出来ただろう
彼は すんなり立って
村の方を見ていた
生きる時間が黄金のように光る
彼の棲家である
大きい森の夜を背景にして
 
中学生とこの詩をどこまで読めるか。
                                                     2023.08.12