国語の教室(教職員編)

このブログでは、私が週に4日開いている国語の教室についてときどき紹介しています。が、実は原則として毎月一回第2土曜日に部屋を借りて、教職員の皆さんとも国語の学習会をしています。

学習内容や会場、参加メンバーなどなど少しずつ変化して、現在3年目に入っています。

私が暮らしている地域では、今週の月曜日から2学期が始まっています。私も夏休みモードから頭と体を切り替えて次の通り9月の学習会を開くこととしました。

日時 2024年9月14日(土)13時〜16時(厳守)

会場 ❎◀️⏪❎いつもの部屋

内容 ①レオ(優里)の実践報告 6年 A先生から

           ②児童の詩をどう読むか(演習 討議)

   ③やまなし(教材研究 1回目)

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通常の例会は13時〜15時ですが、今回は内容がたくさんなので一応3時間確保してあります。

特に3年目のA先生から報告予定のレオの実践についてが楽しみです。今はもう化石になってしまった感のある自主教材の取り組みです。

この会は13時に始まり、16時までには終わります。約束の時間を守ることは相手の人権を尊重することだからです。参加された先生たちが自分の学校や教室でも同じことをしてくれることを願いつつ。

 

 

ある少年野球チームへの投稿

イイネ!

ブログとインスタを拝見しました。背番号授与式はもちろん大切な『式』です。これはまた別の機会に。

今回私がイイネ!と感じたのは、その後に行われた紅白戦です。こどもたち、監督コーチのみなさん、保護者のみなさんがチームをくんで試合をすることには次のような意味があるとわかってきたからです。

①グランド上で感じる暑さを体感する

(こんなに暑い熱いところなのか〜)

②打ったり投げたりするボールの速さやこわさの体験

(こわい!速い!ケガする!)

③野球技術技能獲得の難しさの理解度UP!

(動くボールをよくバットにあてるな〜)

(マウンドからホームベースまで遠い) 

(ストライク投げるのはかなり難しい)

④大人によるこどもが憧れ魅せるプレイの実演

(カッケー!さすがはコーチ!いつかは私も)

⑤「こども 監督コーチさん 保護者さん」の三者が一つになって『チームBS』を育てようという空気感が生まれること

写真には監督さんたちの素敵な笑顔が見られます。その笑顔やアドバイス、保護者のみなさんの観戦や声援はこどもたちにとって間違いなく大きな力になります。今回のようにこどもたちと一緒にプレイしてみると、近いからこそ見えるお子さんたちの成長や課題に気づかれることもあるでしょうね。

お子さんに今は何をどう言ってアドバイスや声援を送ろうかと考える空気感が高まるに連れて(私たちもグランドでボールを懸命に追いかけるこどもたちと共に戦っている10番目のプレイヤーだと大人が気づくに連れて)、こどもたちはどんどん元気になっていきます。ものごとは連れあってかわるからです。そのためにはある程度の時間がかかります。だから短期だけでなく、しっかりとした長期の目標と育成プランが必要になります。そして、ある日、あるとき、雨だれ石をうがつのことば通り、さらに大きな「力と勇気」をもらったこどもたちは一生懸命なプレイ、ひたむきなプレイ、素晴らしいプレイ、勝っても負けても感動的な野球を見せてくれることでしょう。

『チームBS』のますますの活躍を楽しみにしております。

BSファンより

読書感想文を書く 本書編①

国語の教室にこの4月から週一回通っている6年のAさんが、先日読書感想文の下書きを持ってきました。書名は『ぼくはうそをついた』(西村すぐり)です。

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今年の全国読書感想文コンクールの課題図書(5.6年)です。

Aさんは読書感想文を書くことが苦手なので国語の教室に通うことにしたそうです。私は魔法使いではありませんから、一回や二回の指導で合格点の感想文を書けるようにはなりません。

4.5.6.7月の4ヶ月間、作文の学習や詩の読解などなどに一生懸命取り組んできたAさんでした。その子が7月中に感想文の下書きを提出してきたのです。ワクワクしながら読みました。少し加筆修正して一度返却した読書感想文が👇コレです。

 

『ぼくはうそをついた』を読んで

 バレーボールクラブの先輩レイに憧れている小五のリョウタはある日、レイの曽祖母で広島に落とされた原爆で亡くなった息子(当時10歳ぐらい)を今も探し続けているタヅと出会い、その心の苦しみを知ったリョウタが思わずタヅの息子のフリをしてしまうという『ぼくはうそをついた』を読みました。
 この物語を読んで、二つのことが心に残りました。
 まず、リョウタの願いをききいれてくれて、おじいちゃんが原爆で亡くなった自分の兄の話を初めてしてくれたことです。なぜかというと、原爆が落とされた当時のことを思い出すのはとてもつらかったと思うけれど、一生懸命にリョウタに話したからです。
 おじいちゃんが体験したあの戦争の悲惨さを、リョウタたち後世の人々になんとしても伝えたいというおじいちゃんの強い気持ちがわかる場面です。もしぼくがおじいちゃんの立場なら思い出すだけで涙涙なのに。
 次にリョウタのタヅへの見方が変化したことです。初めてリョウタがタヅと出会ったとき、リョウタはタヅに腕をつかまれとっさに振り離してしまいます。でもレイの曽祖母だとわかったり、原爆で亡くなった息子を今も探していることを知ったり、おじいちゃんの兄とタヅの息子が友だちだったことがわかったりしたことなどからリョウタとタヅの心のきょりは縮まります。そのようなときにタヅから
「ショウタか」
とたずねられたリヨウタがふるえた声で
「はい」
とうそをついたところが一番心に残りました。はじめは敬遠していたタヅをもうこれ以上悲しませたくないという気持ちから出たこのうそにはリョウタのやさしさがよく表れていると思うからです。
 この物語を読んでぼくはもう戦争をしてはいけない、核兵器を使ってはいけないと改めて感じました。ぼくも六月の修学旅行で広島平和公園にある平和資料館に行きました。リョウタと同じように目を背けてしまいそうな展示がたくさんありました。
 そういうものをうみだすぐらい戦争はたくさんの人間の命や未来をうばいます。特に核兵器放射能の影響が数百年数千年にわたって残ります。あの原爆で苦しんでいる人は今でもまだたくさんいるのです。さらに現在地球上にある一発の核兵器の威力は広島と長崎に落とされた原爆の何倍にもなるそうです。そのような爆弾を使ったら私たちが生きるこの地球はどうなってしまうのでしょう。
 ぼくは戦争も原爆も体験したことはないけれど、このような悲劇を二度とくり返してはいけないことを少しでも多くの人たちに訴えたり、伝えていったりしたいと思います。

 

いかがですか。私はこの感想文は6年生として十分合格だと考えます。あの作文に苦手意識満杯だったAさんがここまで書いてくるとはと思っていました。

が、後日談があります。それらは別の機会に。

こどもは伸びる

一学期に雨のうた(鶴見正夫)という詩を学習しました。

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光村図書版2年教科書に掲載されています。

この時に「うた」と「おと」の違いを考えることから始め、一行あたりの音数を検討しました。

この七五調のリズムが醸し出す心地よさや視覚にうったえるおもしろさなどに影響を受けたと考えられます。このことを汎化といいます。

先ほどのこどもは題名から8文字にしていました。これも詩の題名は詩の0行目という学習を踏まえてのことと考えられます。

このお子さんは昨年度から(当時小3)国語の教室に通っていますが、当時は不安や国語への苦手意識が強く,5年生のお姉さんの後ろに隠れているようなこどもで、国語が得意なわけではありませんでした。

時を経て少しずつ国語の楽しさがわかってきたこの4月に、学校で図工担当の先生と出会い、初めての授業で言われたそうです。

「失敗してもいいから、まずチャレンジ。」

このことばを聞いて苦手だった図工にやる気が出て、図工が楽しくなり好きになったそうです。

ことばの力とはすごいものです。特に自分の近くにいる大人や先生のことばは。

ところで、このこどもさんが図工の先生のことばに刺激を受けた理由の一つは、国語の教室で一年間(週二回各60分間)休まず学習してきたことが挙げられると考えます。良い循環が起きていたことが最近のお子さんの作文から伺えます。

前略

『国語は色々な楽しさやむずかしさがあり、とても楽しい教科です。私は国語に自信があります。けれども、もっと自信があると言えるようになりたいです。』 

先日は「持ってきたよ〜。」とうれしそうな顔で漢字50問テストを見せてくれました。とても丁寧に書かれた答案は満点でした。

こどもは大人のステレオタイプな考えを飛び越えてどんどん伸びていく素晴らしい存在だと改めて感じました。

ひとりだけの工夫

前回に続いて児童が書いた詩を一編紹介します

みなさんはどのような感想をもたれるでしょうか  

① わたしはたんぽぽ   4年児童

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このお子さんは今、書くことはもちろんのこと学ぶことが大好きな感じです。学びが楽しくて自信に満ちています。だから題名から始まって最終行まで1行8字でまとめるという工夫を思いついたのでしょう。内容も声に出して読むと、明るくてココロがうきうきしてきます。このようにまとめたのはこのこどもさんだけでした。実際に書いてみるとわかりますが、けっこう難易度の高い課題です。

私からの指示は一つだけです。『一連から三連の詩を書く』

ココから文字数をそろえて書く発想が浮かんだのはどうして?

その考察は次回に。よかったら覗いてみてください。

児童詩づくり

一学期はたくさんの詩を読んで学習してきました。いわゆるインプットに力を注いできたのですが、創作・表現(アウトプット)はどれぐらいできるか楽しみにしながら指導しました。

約束事は一つ。一連から三連で書くことです。

何編か紹介します。なお、原文は縦書きです。

① ぼくは せんぷうき 3年児童

 ぼくは、くるくる回る

 スイッチをおすと風の強さを調整出来る

 

 すずしいなぁー

 もっと早く回ってー

 

 ずっとすずしいままがいい

 

②7月11日の漢字大テスト 4年児童

 7月11日の漢字大テストは

 とてもむずかしい(むずかしかった)

 だけど自信はある

 

 はやくテストの点数を見てみたい

 100点だったらうれしいな

 90点をとれなかったらかなしいな

 今まで勉強してきたのに

 

 どうしよう

 神様にねがってみよう

 

③ ぼくは野球がすき  5年児童

 野球がすき

 楽しい

 打ったときはうれしい

 野球は楽しい

 チームのみんなが

 やさしい

 

 コーチがきらい

 いつもおこる

 ノックのボールが速い

 とれない

 ボールがこわい

 

 でも

 コーチがいるから

 野球がうまくなる

 

④ 僕は本  6年児童

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清書は4月から今日までで一番丁寧な字で書くことを「めあて」としました。

読書感動文?読書感想文?

今週末から夏休みに入ります。定番の読書感想文に四苦八苦するこどもたちの姿が目に見えるようです。

なぜこどもたちは読書感想文を書くのが苦手なのでしょうか?答えは2つ考えられます。

①書き方を教わっていない(指導していない) ②日ごろ文章を書かない(書く基礎体力の低下)最近の小学3年4年5年6年生の作文指導からあと一つ理由を見つけました。それは・・・

③あらすじをまとめられない(要約力の低下)

このぐらいは学校で課題を整理し、ある程度トレーニングしてから読書感想文を宿題にしてほしいですね。後述しますが読書感想文を書くことはかなりハードルが高い学習です。

少し前に教科書教材「まいごのかぎ」を読んで感想を書いた3年生のノートを紹介しました。

いつ、どこで,誰が(中心人物が),何を、どうした を100字ぐらいでまとめた学習ノートです。(あらすじです)

中心人物りい子は不思議な出来事に何度も出会いますが、逐一書いていてはすぐに字数オーバーです。短くて的確なことばをこどもたちは考え,口々に話します。思いついたら即発言ですから彼らにとっては遊び感覚です。そのようななかで一人のこどもさんがふと口にした「冒険」を聞き逃さずこどもたちにフィードバック。考えあぐねていたこどもたちも「アーなるほど!」と納得して、りい子の体験を冒険と意味付け、共有したのでした。こういう過程を経て語彙が増えたりその質が上がったりするのでしょう。

読書感想文は読みながらや読了後に感じたり考えたりしたことを読み手に伝わるように1,200字程度にまとめたものです。

おもしろかった,かわいそうだった、感動したなどなど自分の気持ちを書き散らすものではありません。読書感想文と読書感動文の違いを先生方や大人のみなさんは認識しておくことが大事です。

そこで、先ほどの「まいごのかぎ」では考えを深めるために『もし自分だったら』という表現を使うことを約束事にしました。こどもたちのノートを見ると、もし〜の文型は同じでも、その後に続く文章や内容は一人ひとり違い個性があっておもしろかったです。

今回は何人かで同じ作品を読み、遊び感覚で意見を出し合い自分の文章に取り入れましたが、本番はそれらを一人でやらなくてはなりません。最大の難所です。

大人が想像する以上にハードルは高いのです。できれば親子で同じ本を読み、お子さんと話し合う機会があると、こどもさんの鉛筆の先から、カリカリ、さらさら、すらすらといった心地よい音が聞こえてきますよ。